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12Vか24Vか (コスト編②)


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2021-5-19(水)

今回は、以下の記事の後編です。

オフグリッド・ソーラー発電の電圧について、12Vか24Vかを考えました。また、オームの法則とジュールの法則,発熱の公式も確認しました。
12Vか24Vか (安全性編) (2021/04/29)
http://semiritaiayume.blog.fc2.com/blog-entry-745.html

今回は、オフグリッド・ソーラー発電のシステム電圧、12V (ボルト) と24Vを、電線類のコストで比較します。残念ながら、計算が中心です。

  • パネル・蓄電池・機器類のコスト
  • 対応する製品
  • 電線のコスト

電圧降下

毎度のごとく、退屈な理屈です。(理論ですので、読み飛ばしても結構です)

電気回路を電流が流れるとき、抵抗がある物体の前後に電位差 (電圧) が発生します。

イメージとしては、抵抗 (山) を乗り越えるために電圧 (元気) が必要という感じでしょうか。

そして、抵抗 (山) を乗り越えたあとは、電圧 (元気) が下がってしまいます。

普段は気にしませんが、電線にも、わずかな電気抵抗があります。
特に、電線の電気抵抗によって電圧が下がる現象を “電圧降下” というのです。

図だとわかりやすいかもしれません。

電圧降下のイメージ

12Vの電池のプラス極が12Vのとき、マイナス極は0Vです。
回路の中にある負荷に10Vの電圧がかかっているとすると、行き帰りの電線には残りの2Vです。

つまり、この回路では、“2Vの電圧降下が起きている” ということです。

電圧降下の公式です。ちょっと面倒なかんじですが、テストには出ませんので、覚える必要はありません(笑)

電圧降下の公式

式中の "35.6" という定数は、直流回路の電線が行きと帰りの2本であり、また銅の電気抵抗 (20℃での抵抗率) が決まっているため、この数字が出てきます。

"1,000" は、キロメートルをメートルに換算するためのやつです。(一般的に、電線の抵抗は、キロメートル単位で表されるため)

式より、電圧降下は、電線の長さと流れている電流に比例し、電線の導体の断面積に反比例することがわかります。

ですから、電線を太く短く (抵抗を小さく)、また、電流を小さくすることが、電圧降下を抑えるコツとなります。

退屈な理屈はおしまいです。

電線のコスト

結果を言うと、24Vのほうが優れています。

電線は、その導体の太さと絶縁被覆の種類によって、“許容電流” が決められています。(これを超える電流では、電線に熱がこもり、発火につながる)

同じ種類の電線なら、許容電流は、導体が太いほど大きくなります。(もちろん、値段も高くなります)

つまり、流れる電流を小さくし、許容電流の小さい電線 (細い) を使えるなら、安くなるわけです。

さて、ジュールの法則より、同じ電力 (ワット数) なら電圧が高いほど電流が小さくなることがわかります。(前々回の記事でお話しました)

例えば、1,200W (ワット) なら、100Vでは12A (アンペア) ですみますが、24Vでは50A、12Vでは100Aにもなります。

なお、負荷がインバーター (直流を交流に変換する機械) の場合は、この変換効率が90%程度であり、また、蓄電池の消耗と内部抵抗 (電圧の低下) に伴って入力側の電流が大きくなります。
このため、計算した電流の1.2倍ほどが流れると考えます。

例えば、1,200Wなら、24Vでは60A (50A×1.2)、12Vでは120A (100A×1.2) が実際に流れる電流です。すごい電流ですね。

電線の太さは、これを基準にします。

もっとも一般的な電線であるIV電線,KIV電線なら、100V・12Aでは0.75sq (スケア)、24V・60Aでは8sq、12V・120Aでは38sqが必要となります。

電線の太さ比較

0.75と8と38の比較。12Vの電線は太くてやばい……

さらに、電線が長い場合は、許容電流のほか、電圧降下についても考える必要があります。

蓄電池の充電やインバーターは、入力する電圧が決まっており、これより高くても,低くても使えません。

特に、インバーターには、12V用なら10.5V、24V用なら21Vといった “低電圧保護機能” がついています。
この電圧を下回ると、蓄電池の保護のため、インバーターは自動で停止します。

蓄電池の電圧が正常でも、電線での電圧降下が大きいと、インバーターは止まってしまうのです。

いま、24Vの蓄電池から、60Aが流れる電線が10メートルあるとします。許容電流だけを考えると、太さは8sqで大丈夫そうにみえます。

電圧降下

しかし、長い電線では、電圧降下の影響も大きくなるのです。

"35.6×10m×60A÷1000÷8sq=2.67V"

このとき、2.67Vの電圧降下が発生することがわかります。
インバーターの動作電圧が21V以上だとしたら、蓄電池の電圧が0.34V下がっただけで停止してしまうのです。(24V-2.67V-0.34V=20.99V)

これでは、まったく使えませんね。

実用性も考えると、電圧降下は2%まで、つまり12Vでは0.24V、24Vでは0.48Vに抑えたいものです。

この計算には、②式が役立ちます。上の例なら。

"35.6×10m×60A÷1000÷0.48V=44.5sq"

44.5sqの直近上位の60sqということになります。

電流がより小さい24V系でもこの太さということは、もし12V系なら……

ソーラー発電に使う電線は、ここだけでなく、ソーラーパネルの間 (直列と並列),ソーラーパネルとチャージコントローラーの間,チャージコントローラーと蓄電池の間,蓄電池の間 (直列と並列) などがあります。

よって、電線のコストでは、24Vが優位と言えるのです。

  • インバーターの電流は、単純計算の値の1.2倍で計算する
  • 同じワット数なら、24Vでは12Vの半分の電流となる
  • 電線の許容電流を超えないようにする
  • 許容電流の大きい電線は、太くて高価
  • 電線が長いと、電圧降下が大きくなる
  • 電圧降下が大きいと、蓄電池やインバーターは使えない
  • 電圧降下を小さくするためには、さらに太い電線が必要

ちなみに、どんなに細い電線でも、1,000Vに耐えるように作られているので、12Vでも24Vでも感電とか絶縁破壊とかそういう危険はないです。

12Vと24Vの比較が一通り終わりました。

結局、どちらも一長一短で、決めるのは難しいですね。

  • 300W以上のインバーターを使うから24V
  • スマートフォンの充電だけでいいから12V
  • 12Vの車載家電しか使わないから12V
  • 将来的に、家の電力を全部まかないたいから24V
  • 小型化したいから12V
  • 車のバッテリーが一つだけあるから12V

……という感じで選べばよいと思います。
あとから変更できるのも、オフグリッド・ソーラー発電の大きな特徴です。

閲覧ありがとうございました。

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プロフィール

しゅう

Author:しゅう
1991年北海道三笠市生まれ。プロフィール

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