ポータブル電源の選び方 (計算を除く)
- 2023/10/15
- 00:56
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最近、ポータブル電源が欲しいと思っています。
ポータブル電源は、バッテリーに蓄えたDC (直流) の電気を、コンセントと同じAC (交流) に変換して取り出せる機器です。
停電時に家電を動かしたり、オフグリッド・ソーラー発電の蓄電池の代わりに使ったりと、いろいろな使い方ができます。
でも、ポータブル電源って、ピンキリなんですよね。
ざっと、ネット通販を見ても……
- バッテリー容量
- バッテリーの種類 (寿命・安全性)
- AC出力 (インバーター) 能力
- 出力波形 (正弦波・矩形波)
- 出力周波数 (50Hz・60Hz)
- 出力効率
- DC出力ポート (アクセサリーソケット,USBなど)
- 急速充電に対応
- ソーラーパネル充電に対応
- 充電の制御の方式 (PWM・MPPT)
- シガーソケットからの充電
もちろん、容量が大きくて,効率が良く,機能が多いほうが良いのですが、お高くなります。
ポータブル電源は、安い製品でも数万円はするので、いい加減に選んで失敗することはできません。
選定の要件として、私が想定する使い方を列挙します。
- 1. バッテリー
- 1.1 容量
- 1.2 種類
- 1.3 バッテリーの選定の条件
- 2. AC出力
- 2.1 能力
- 2.2 波形
- 2.3 周波数
- 2.4 AC出力の選定の条件
- 3. DC出力
- 3.1 ポート
- 3.2 能力
- 3.3 DC出力の選定の条件
- 4. ソーラーパネルによる充電
- 4.1 能力
- 4.2 制御方式
- 4.3 ソーラーパネルによる充電の選定の条件
- 5. 再利用について
これに基づいて、最低限の要件を考えます。
1. バッテリー
1.1 容量
まず、バッテリー容量 (kWh) は、無線LANを24時間、使えることが条件です。
計算が必要になるので、このお話は次回の記事に。
1.2 種類
バッテリーの種類は、寿命の長さ (充電・放電できる回数) を重視します。
最近のポータブル電源に用いられてるバッテリーはもっぱらリチウムイオン電池ですが、そのリチウムイオン電池の中にもさらに種類があります。
寿命が長いとされるのが “リン酸鉄系” で、2,000回の充電・放電に耐えるそうです。
1.3 バッテリーの選定の条件
- 容量:720Wh以上 (次回に計算)
- 種類:リン酸鉄系リチウムイオン電池
2. AC出力
ポータブル電源には、バッテリーのDCを、ACに変換する機能 (インバーター) がついています。このインバーターの選定です。
2.1 能力
AC出力 (インバーター) の能力 (W) は、炊飯器を使えることが条件です。
私が使っている炊飯器の定格消費電力は、400Wでした。
ということで、必要な交流出力の容量は、400Wとなります。
ただし、AC出力は、大きければいいというものではないのが悩みどころです。出力の大きいインバーターは、待機電力 (使用・不使用にかかわらず消費される電力) が大きく、大きいインバータに対して軽い負荷だけの使用では無駄が多くなります。
できれば、軽負荷用と中負荷用,重負荷用の3台を用意したいところです。(3台のインバーターがついている製品があればいいのに)
2.2 波形
あと、欲を言うなら、“正弦波” がいいです。
交流出力の波形には、正弦波と矩形波があり、正弦波のほうが使える家電が多いです。
正弦波のインバーターはとても高価なので、この機会に使ってみたいと思いました。
2.3 周波数
さらに、AC出力の周波数 (Hz) には、50Hzと60Hz、まれに55Hzというのがあります。
60Hzのやつが欲しいです。
私の住んでいる地域 (トンイルボン) は50Hzのため、60Hzで遊んでみたいのです。ブザーなんかは音の高さが変わるので、旅先感があるはずです。
周波数が切り替えできる製品もあります。
なお、周波数が違うと使えない製品には、電子レンジ (インバーター式を除く) や蛍光灯器具 (インバーター式を除く) があります。
2.4 AC出力の選定の条件
- 容量:400W以上
- 波形:正弦波
- 周波数:60Hz
3. DC出力
3.1 ポート
DCの出力を取り出すためのポートがほしいです。
ほとんどのポータブル電源には、アクセサリーソケット (シガーソケット) とDCジャック (DC5521など) がついているので、これは大丈夫でしょう。
3.2 能力
無線LAN機器を使うのに必要となる、DCの電圧 (V) と電流 (A) です。
DC出力の電圧は、12V以上が欲しいです。
私が使おうとしている無線LAN機器の本体は、DCの12V用なのです。
また、出力できる電流は、2A以上である必要があります。
ACアダプター付きの機器の場合、ポータブル電源のACアウトレット (コンセント) に、ACアダプターを挿して使うのが王道ですが、これは効率が非常に悪いです。
インバーター (DC→AC) の効率はおおむね80%、ACアダプター (AC→DC) は、おおむね85%とされます。で、総合的な効率は68%程度となります。
対して、コンバーター (DC→DC) の効率はおおむね80〜90%とされますから、バッテリーをより長く使えます。
上記のバッテリー容量は、コンバーターで使うことを想定した値です。
3.3 DC出力の選定の条件
- ポート:アクセサリーソケットまたは、DCジャック
- 出力電圧:12V以上
- 出力電流:2A以上
4. ソーラーパネルによる充電
ソーラーパネルでポータブル電源に充電することを想定しています。
ポータブル電源は、防災用品の側面があるので、ほとんどの製品がソーラーパネル充電に対応しています。
4.1 能力
実は、100W1枚,50W2枚のソーラーパネル (計200W) が、物置きに眠っており、これらが文字どおり日の目を見ることができるよう、ポータブル電源を活用したいのです。
それらのうち、50Wのソーラーパネルを並列で使うことを想定しています。
具体的な発電量 (電圧・電流・電力・電力量) の計算は次回にします。
4.2 制御方式
充電の制御には、PWM (パルス幅変調) 方式と、MPPT (最大電力点追従制御) 方式があります。
MPPTのほうが高効率ですが、より高価です。どうせなら、MPPTを使ってみたいです。
4.3 ソーラーパネルによる充電の条件
- 入力電圧:22V (18V系)
- 入力電流:7.5A以上 (次回に計算)
- 制御方式:MPPT方式
5. 再利用について
どんなに大容量で多機能で高性能なポータブル電源を買っても、消耗品であるバッテリーには必ず寿命があります。基本的には、バッテリーの寿命が、そのポータブル電源の寿命です。
そこで、ポータブル電源の “第二の人生” を考えます。
寿命になったバッテリーでも、オフグリッド・ソーラー発電の蓄電池としては、まだ使える場合があります。
他にも、ソーラー充電の回路はチャージコントローラーとして、AC出力の回路はインバーターとして使えるかもしれません。
ポータブル電源は、オフグリッド・ソーラー発電の機器を一つに組み合わせただけなので、それぞれは再利用が可能なのです。
正弦波やMPPTという高価な製品を選んでも、最後まで無駄にはならないのですね。
部品取りみたいでかわいそうですが、そのまま投げるよりはいいでしょう。
次回の記事で、バッテリーの容量と、ソーラーパネルでの発電量を計算します。それがわかれば、私が求めるポータブル電源が自ずと選び出されます。
閲覧ありがとうございました。
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